ズボラ宅配便受け取り事件簿

ずぼらエピソード

ある休日の昼下がり、ソファでゴロゴロしながら映画を観ていた。完全にリラックスモードだ。部屋着は毛玉だらけのスウェット、髪はボサボサ、顔も洗ってない。まあ、今日は誰にも会わないし、と開き直っていた。

そんなとき、ピンポーンとインターホンが鳴る。
「宅配便でーす!」

あ、忘れてた。昨日ネットで注文した品が届く日だった。

玄関に向かいながら一瞬考える。「着替えるべき?」いやいや、ズボラ的にはそんな手間をかけられない。ドアだけ少し開けて受け取れば大丈夫でしょ、と思い、そのまま玄関のドアを開けた。

しかし、想定外の展開が待っていた。

「いつもありがとうございます!」
笑顔で元気よく挨拶する配達員さん。超絶イケメンだった。

こちらはスウェット姿に加えて寝癖全開、素足にスリッパという完全オフ状態。対して相手は、まるでヒーローかのようなキラキラ笑顔。「サインお願いします!」と言われ、あわててペンを持つ手に目をやると、そこにはさっき食べていたポテチの粉がびっしり。

もう無理だ。恥ずかしすぎて地面に吸い込まれそうになる。でもズボラ精神がここで発動する。「やるっきゃない」と開き直り、堂々とサインを書いた。

配達員さんが帰った後、ふと気になって玄関の鏡を見たら、顔にポテチの塩がついていたことに気づく。「あの笑顔、そういうことか…」と、後から恥ずかしさがじわじわこみ上げた。

以来、配達員さんに会うたびに「いつもありがとうございます!」と笑顔で言われるのが地味にツラい。でも、ズボラに生きる者として、あの日の自分を否定するつもりはない。むしろ、あれが私の真の姿だ、と誇りを持っている……ことにしておこう。

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